日本旅行より2023年1月~3月に毎月4回(午前の部・午後の部合わせて)、「網干総合車両所明石支所見学ツアー」なるものが設定されました。各回定員40名と少人数の募集となりましたが、運良く申し込むことが出来たので、簡単にレポートしたいと思います。
今回イベントが実施される場所は、JR西日本の網干総合車両製作所明石支所。大阪・神戸エリアのJR線利用者にはお馴染みの7両編成の通勤電車の車庫となっている場所です。最近はJR東日本などでも車庫にて「撮影会」を有料イベントとして実施しているケースが散見されますが、今回は「見学会」ということで、少し他のイベントとはニュアンスが異なります。事前にアナウンスされていた内容としては、以下のものがありました。
和田岬線の103系は原型を色濃く残す唯一の現役車両であり、かなり希少性が高いものの、特筆すべきイベントはこれまで無かったように思われます。今回は貴重なチャンスということで、大きな期待を胸に、いざ西明石へ!
JR西明石駅から徒歩で10分ほどでしょうか。イベントの集合場所である入口に到着。
イベント中は、業務用に使用する掲示板などを除き、すべて撮影可能とのことで、かなり自由度の高いイベントとなりました。
踏切を渡り、会議室へ向かう途中に、昨年12月頃から話題となっていた207系X1編成と遭遇。なぜか6両編成で組成されており、春のダイヤ改正から、和田岬線を走ることになるのでしょうか。。。
すぐ隣を普通列車が通過します。
そのほか、イベントの本丸である検査場に行くまでに、色々と車庫内を撮影することが出来ました。
まずは会議室へ行き、イベントの全体感について説明を受けます。座席にはイベントの案内のほか、運転台見学の際に使う手袋、床下機器見学のときに無線を使用するためのイヤホンなどが置かれていました。
こちら、車両所の方々でデザインしたようです。グッズの即売会では、このロゴがデザインされているノートも販売されていました。
さて、いよいよ103系電車とご対面。
隣にはクモヤ145が停車しています。
なるほど、撮影というのは車庫内での撮影なのか!と少しガッカリしたものの、これも普段では見ることの出来ない貴重な画ですよね 笑
色々な角度から103系を撮影してみます。
今回の見学ツアーは、参加人数が限定されているうえに、10人ごとにローテーションを組んで見学できる仕組みとなっていたため、かなりじっくりと見学することができました。
こちら、主制御器のデモ実演もありました!
無線で合図があり、ノッチ1から順に入れていく様子をじっくり観察でき、非常に面白かったです。実はR1編成には2両のモハ103が含まれているのですが、この2両で主制御器に微妙な違いがあるんです。皆さんお気づきですか??
上記の実演以外でも、現場の方々が気さくに話してくれたこともあり、色々な疑問についても解決することが出来ました。例えば台車の色について、登場時は黒色でしたが、JR化後のある時期からグレーの塗装になっています。この理由を聞いてみたところ、昔使われていた黒色の塗料と、最近使われているグレーの塗料では、素材が異なり環境への負荷を考慮するとグレーの塗料が望ましいそうです。床下グレーの塗装はJR東海がかなり昔から導入していましたが、いまやJR各社でグレーの塗装にシフトしている理由にも納得です。
他には、最近の車両は電子制御なのでいったん故障すると全部ダメになるが、103系は部分的に応急処置を実施する等の柔軟な対応が出来るという趣旨の話もして頂きました。
メインの103系電車以外にも、色々と興味深い展示がありました。
例えば、こちらのヘッドマーク。和田岬線にゆかりのあるものから、加古川線など周辺路線の物まで幅広にたくさん展示されていました。
続いてこちらのブレーキハンドル。現役の運転士がブレーキの使用感、自動ブレーキ帯についてなど解説してくれました。運転席にかぶりついてもなかなか知りえないディープな話もあり、大変勉強になりました!
そして運転台の見学。制服を着ての記念撮影や、ワイパーを手動で動かしてみるなど、1分程度の短時間ではあるものの、色々と体験できました。
103系の車内ではグッズ販売や、現役の乗務員が携帯する鞄の中身や、運行状況を管理する端末などを見たり触ったりすることが出来ました。個人的に特に興味深かったのは、運転士さんの私物として103系電車の図面も見ることが出来ました。
その他、自由に見学できる範囲内で207系を整備しいている様子なども見ることが出来ました。
さて、色々と見学会を楽しんでいるうちに、あっという間に終了の時間になってしまいました。
103系の去就についてはまだ良く分からないとのことでしたが、急遽このようなイベントが開催されたり、冒頭にも紹介したような207系が存在していることなどを鑑みると、いずれにせよ引退はそう遠くないのでしょう。私が鉄道好きのきっかになった103系。関東にてスカイブルーの103系には特に愛着があったので、引退前にこのような機会に103系についてじっくり見たり、理解を深めることが出来たのは本当にラッキーでした。また、今回のイベントでは整備や運転士の方と気軽にコミュニケーションが取れるというのも非常に画期的で、やり取りの随所から現場でも103系が愛されていることが伝わってきて、非常に良いイベントでした。また色々な企画があることを楽しみにしています!