毎年恒例の3月ダイヤ改正。今回の改正で20年以上も慣れ親しんだ185系電車が「踊り子」号から引退するとのことで、年度末が迫る中、ここぞとばかりに有給休暇を取得し踊り子に乗ってきました。せっかくなので過去の写真を交えて沿線風景を紹介しながら、踊り子号の旅について書いていきたいと思います。
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まずは踊り子号の始発駅、東京駅へ。
しばらくすると、9番線にブウォーンと重い音を轟かせながら185系電車が入線。
この「音」が国鉄車両の魅力なんですよねぇ~
しばらく鉄道趣味から離れていましたが、この音を聞いて、東海道線の113系電車を追いかけていたころを思い出しました。
少し周りを見渡すと、東京駅を発着する車両はどれもステンレス製車体に帯を巻いた車両ばかりで、いずれも2000年以降に登場した車両。
今回の185系電車引退を残念に感じる一方で、むしろ40年も特急車両としてよく生き残ったなぁと驚きます。
首都圏の主要駅では185系電車の引退に伴い、写真のようなポスターが掲示されています。
毎年3月のダイヤ改正では何らかの列車・車両が引退になったりしますが、ここまで大々的にポスターが掲示されることは稀で、それだけ踊り子号が多くの人に親しまれたのと同時に、185系電車が社員の方からも愛されていたということなのでしょう。
さて、踊り子号は定刻に東京駅を出発。いまでは絶滅危惧種となった鉄道唱歌のオルゴールとともに、停車駅の案内が始まります。
すぐ隣を走る東海道新幹線と並走しながら、まずは品川を目指します。
今回乗車した踊り子号は、伊豆急行線の伊豆急下田行(10両)と伊豆箱根鉄道線の修善寺行(5両)が併結し、途中の熱海駅までは15両編成での運行となります。
高度成長期に伊豆方面への旅行が爆発的な人気を誇ったのと比較すると大きく需要は低下しているものの、いまでも分割・併合をしながら鉄道会社4社(JR東日本、JR東海、伊豆急行、伊豆箱根鉄道)を跨ぐ運行形態が維持されているところを見ると、まだまだ根強い人気があるんだなと安心します。
運転室を見に行くと、ブレーキハンドルが着脱式の、昔ながらの運転台が健在でした。運転士の指差歓呼もカッコ良いですね。
東海道線は品川を出ると途中の国府津あたりまでは平坦な景色が続きますが、京浜東北線や横須賀線、東海道貨物線など、色々な線路と並行するので、意外と飽きずに乗車できます。
東京駅から1時間近く経過したあたり(国府津駅付近)から遠くに海が見えてきて、旅行気分が高まります。
そして、小田原駅を出発してから熱海駅までの20分くらいが、東海道線区間のハイライトになります。
小田原を出ると急に山が増えてきて、地形が険しくなります。ここまでかっ飛ばしてきた踊り子号も、ややスピードを落としながら、熱海を目指します。
さて、ここで185系電車の車内について簡単にご紹介。
185系電車は、国鉄時代に普通列車、特急列車どちらにも対応できるように設計された車両のため、設備は非常にシンプルで、普通車とグリーン車其々に座席が並ぶだけというオーソドックスなスタイルとなっています。
ややマニアックな話になりますが、もともと特急「草津」など高崎線方面で活躍していて、「踊り子」に転籍してきたグループの車両は、グリーン車の座席が異なります。なんとなく古そうに見えると思いますが、国鉄時代の座席なんです!座席の色合いや、座り心地など、個人的にはすごく良い座席だと思っているのですが、すべての7両編成がこのグリーン車という訳ではないので、この座席に出会えるかどうかは運次第。
この洗面台は国鉄時代から変わらないスタイルで、これは185系ならではと言えるかもしれません。レバーを回すとドバッと勢いよく水が出てくるんですが、使い初めに熱湯が出てくることもあり、なかなかユーザーフレンドリではない代物なんです。とはいえ、寝台特急などでもお馴染みだったこの洗面台が、現在も変わらぬスタイルで健在しているのは、なんとなく嬉しくなります。
国府津あたりかの海沿いの景色を楽しんでいるとあっという間に熱海駅へ。熱海は今でも旅行の目的地として一定の人気があるようで、車内の半分くらいの人は熱海で下車していきました。
熱海駅では、進行方向前寄りの伊豆急下田行10両編成と、後寄りの修善寺行5両編成に分割されます。
列車は熱海へ着き乗客を降ろすと、修善寺行の列車はいったん扉を閉めます。そして修善寺行の編成は数メートル後ろにバックし、下田行の編成から切り離されます。切り離しが終わると、再度修善寺行の編成は扉が開きます。
切り離してそのまま出発するのではなく、このような面倒な方法を取るのは、恐らく配管まわりの作業が必要だからと思われます。
今回は伊豆へ向かうので切り離しの作業ですが、逆に東京方面に行くときはここで列車を連結することになるので、いつも多くのギャラリーで賑わいます。
熱海駅を出ると、列車はJR伊東線に入ります。
伊東線は熱海から伊東までの短い路線で、20分程度で走破します。伊東線内からも海が見えますが、近年は宅地開発が進み、昔に比べて沿線に住宅が増えたなぁという印象です。
そして、伊東駅を出ると、列車は伊豆急行線に入ります。
伊豆急行と言えば海を思い浮かべる人が多いと思いますが、意外と山の中を走る区間も多いのです。
伊東を出るとまずは山の中へ。
ゴルフ場が有名な川奈、別荘地として人気な伊豆高原を経て、終点の下田を目指します。
伊豆急線内は全区間単線のため、途中駅で何度か交換のための停車があります。
途中の伊豆熱川駅は、山に挟まれた険しい地形に位置し、ホームの両サイドがトンネルに近接するため、↑の写真のようにトンネルを走ってくる列車を見ることが出来ます。
ブオォーンと国鉄車両特有のモーター音を轟かせながら近づいてくる185系電車はとても印象的。
伊豆熱川駅は駅周辺の町中で温泉の湯気があがっていて、温泉地に来たー!という気持ちになります。
さて、伊豆熱川駅から更に下田方面に進むと、いよいよ伊豆急線のハイライト、オーシャンビュー区間になります!
伊豆熱川の次の駅、片瀬白田から伊豆稲取を経て今井浜海岸駅手前までの区間は、ご覧のように海岸線に沿って線路が敷かれており、オーシャンビューを存分に楽しむことが出来ます。
185系電車の甲高いモーター音と波の音が心地良い。
この辺りまで来るとなんとなく沿線の街並みも「海のある街」といった風情になり、伊豆に来たなぁ~という気持ちになります。
駅に掲示されるポスター等も、片瀬白田、伊豆稲取付近で撮影されたものが多く、沿線随一の絶景ポイントになっています。
この日は運が良く空気が澄んでいたので、伊豆大島がとても綺麗に見えました!
オーシャンビューを堪能すると、列車は河津に到着。
河津と言えば河津桜を思い浮かべる人が多いと思いますが、河津駅から徒歩数分のところに、ご覧のように河津桜の並木があります。
例年2月中旬~下旬頃がシーズンで、一足早い春を感じに全国から多くの人が押し寄せます。
河津は河津桜が圧倒的に有名ですが、駅から山側に進むと河津七滝があり、川沿いで温泉に浸かったり、滝を間近に楽しんだり、桜の季節以外も楽しむことが出来ます。
河津駅を出ると、再び線路は内陸部へ。
トンネルを何個か通りながら、終点の伊豆急下田を目指します。
途中には見通しの悪い区間が続くためか、時折ピィーッ!と聞こえてくる汽笛が旅情を誘います。
河津からはあっという間に終点の伊豆急下田へ到着。
いかがでしょうか。これにて踊り子号の旅は終了です。
ひとまず終点の伊豆急下田駅まで「踊り子」の旅を楽しみましたが、下田は海水浴シーズンに何度も来たことがあるので、今回は下田から伊豆高原まで引き返します。
伊豆高原は伊豆オルゴール館、伊豆テディベア・ミュージアムなど、観光スポットが点在しており、幅広い年齢層に人気なエリアです。
別荘地ということもあり、拘りの食事処もあるのですが、今回は鉄道旅で車が無かったので、昼食は駅で済ませることに。
個人的に伊豆と言えば金目鯛なのですが、ありがたいことに金目の煮つけが本日のランチになっていたので、迷わずこれを選択。
値段は忘れてしまいましたが、たしか1700円くらい。金目鯛の兜が3つとお刺身がついてこのお値段は大満足!
お目当ての金目鯛は甘めのタレが良く染みていて絶品でした。
駅に直結という立地も素晴らしく、今度また鉄道旅で来るときは立ち寄りたいお店になりました☆
そして、お昼ご飯を満喫した後は、そのまま駅の階段を下り、送迎バスに乗車し赤沢温泉へ。10分弱くらいで到着します。
DHC赤沢温泉ホテルの日帰り温泉館。そう、ここは化粧品で有名なDHCが運営しているのです。
料金は1,600円と少々高めの設定ですが、露天風呂からは海が一望できることに加え、なんとサウナからも海が一望できるのです!サウナからも景色が楽しめる温泉ってそんなに多くないと思うので、これは良く考えたなぁと思います。あとは風呂上りにDHCの化粧品が何種類か用意されており、このあたりを考慮すると少し価格が高くても仕方ないかなと思います。
温泉でリラックスした後は、送迎バスで再び伊豆高原駅へ。
さて、日帰り旅の紹介は以上です!
185系電車は3月のダイヤ改正で定期列車からは引退するものの、しばらくは臨時列車で活躍しそうです。
暖かくなってきたら、昔の電車に乗ってふらっと日帰り旅行に出かけてみるのはいかがでしょうか。
ではまた!